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エンジニア採用ピッチ資料の作り方|候補者が判断できる6章構成

株式会社adding / 採用内製化支援チーム

エンジニア採用 / 採用ピッチ資料

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この記事の更新
2026年8月20日

エンジニア採用ピッチ資料は、会社の魅力を並べる資料ではありません。候補者が事業、仕事、条件を判断できる事実を、事業、プロダクト、技術環境、チームと働き方、役割・選考、条件の6章へ分けます。

未確認の数字や制度は、もっともらしい表現で埋めず、「非公開」「未確定」「確認中」を区別して確認者を記録します。完成度は、求人票・面接官の説明・実際の運用が同じ事実を示すかで決まります。

以下は2026年8月20日時点の厚生労働省の情報に基づく制作手順です。個別の適法性は最新の公式情報、管轄窓口、必要に応じて専門家へ確認してください。

採用ピッチ資料の目的を3つの判断へ絞る

選考中に伝える情報は際限なく増えます。僕なら、候補者が下す三つの判断を先に書きます。

  1. 選考を続けるか:事業とプロダクトの課題に関心を持てるか
  2. 職務を担えるか:求められる成果、技術課題、裁量、支援体制が自分に合うか
  3. 入社を選べるか:働き方、選考、雇用条件に重大な不明点がないか

三つの判断に寄与しない情報は、別の採用広報へ回せます。エンジニア採用ブランディングの設計で接点全体の価値と根拠をそろえ、ピッチ資料には選考中に必要な共通事実を抜き出します。

6章構成で事実・根拠・担当者をそろえる

各ページに書く内容だけでなく、根拠と確認者を置きます。

候補者へ渡す判断材料根拠にする社内情報主な確認者
1.事業顧客、解く課題、収益の仕組み、現在の重点公開資料、承認済み事業計画、顧客定義事業責任者、採用担当
2.プロダクト利用場面、提供価値、現在の制約、次に変える領域プロダクト資料、ロードマップの公開可能範囲プロダクト責任者
3.技術環境構成、主要技術、品質・運用、技術的負債、意思決定構成図、リポジトリ、運用記録、技術方針CTO、EM
4.チームと働き方組織、役割分担、開発サイクル、レビュー、オンコール、勤務形態組織図、予定表、運用手順、就業ルールEM、採用担当
5.役割・選考採用背景、期待成果、裁量、選考工程、評価する能力採用要件、評価基準、面接設計EM、採用担当
6.条件雇用形態、就業場所、報酬、勤務時間、試用期間、変更範囲等最新の募集要項、社内規程、承認記録採用責任者、労務担当

原稿担当は一人でも、技術や条件を推測で書かないよう、事実の確認者は章ごとに分けます。

事業とプロダクトは「大きさ」より採用理由へつなげる

市場規模や成長率には調査名、対象、時点、URLを添え、社内の数字は公開承認を得たものだけを使います。根拠のない「急成長中」「業界トップクラス」は判断材料になりません。

事業の説明は今回の採用へつなげます。「新規領域へ進出するため」なら、対象の顧客課題とエンジニアが決める範囲を確認します。計画を出せない場合は、公開範囲を事業責任者と決めます。

技術環境は採用技術の一覧で終わらせない

技術スタックのロゴだけでは、実際の仕事を判断できません。利用領域、変更の決定者、テスト、リリース、障害対応を示し、新旧の構成が混在するならその状態も伝えます。

CTOは技術方針と意思決定範囲、EMは日々の開発運用を確認します。オンコールの条件が未確定なら「負担なし」と書かず、【未確認】対象職種と頻度(確認者:EM/公開前に確定)のように制作台帳へ残します。

役割と条件は共通説明と個別提示を分ける

役割の章では、採用背景、期待する成果、決定範囲、支援者、評価する能力を結びます。「裁量が大きい」なら、単独で決めること、合議すること、承認が必要なことに分けます。

条件の章は最新版の募集要項を正本にし、転記した項目の更新日を記録します。2024年4月1日以降、募集時等には業務・就業場所の変更範囲と有期契約の更新基準も明示対象です。職種共通の賃金幅や勤務条件を選考後半まで伏せず、求人票・募集要項で明示します。候補者ごとの最終報酬や入社日は、共通条件と食い違わない個別の条件通知で確認します。エンジニアのオファー面談で確認することでは、共通説明と個別条件を分ける手順を整理しています。

安全な記載例は不明点を隠さない

表現を整える前に、事実を「確認済み」「非公開」「未確定」「不明」へ分けます。次の例は文言のテンプレートではなく、確認状態を表す型です。

曖昧な表現事実へ直した記載例制作台帳に残すこと
急成長中です公開承認済みの指標がある場合だけ、指標名・期間・値・出典を記載数値の責任者、確認日、次回更新条件
モダンな技術環境です主要技術、利用領域、残る旧構成、変更の決定者を記載構成図の版、CTO・EMの確認
大きな裁量があります単独決定、チーム合意、責任者承認の範囲を分けて記載職位別の権限、例外時の相談先
柔軟に働けます就業場所、出社条件、勤務時間、適用対象を募集要項と一致させる制度の正本、例外、更新日
成長を支援します利用できる制度、対象者、申請・承認方法を確認できる範囲で記載制度の運用責任者、実施状況
詳細は面談で説明します【未確定】対象項目/確認者/公開前の確定条件として管理未確定の理由、確定責任者、期限

数字を出せないことではなく、非公開の数字を推測で埋め、未確定の制度を約束に変えることが問題です。公開版には確認済みの事実だけを残します。

求人情報と選考基準は資料内でも食い違わせない

厚生労働省の公正な採用選考の基本は、応募者の基本的人権を尊重し、本人の適性・能力に基づく基準で採用選考を行うことを基本としています。本籍、家族、思想・信条など、職務遂行の適性・能力に関係しない事項を把握しない考え方も示しています。

「カルチャーフィット」は、私生活や価値観の同質性を求める言葉にしません。募集職務に必要な協働、意思決定、品質責任など、観察できる行動と能力へ置き換えます。

また厚生労働省は、SNS等を含む募集広告について、虚偽や誤解を生じさせる表示を禁じ、募集主の名称・住所・連絡先・業務内容・就業場所・賃金の表示を案内しています。採用ピッチ資料を募集広告として使う場合、募集要項へのリンクだけでは足りず、広告自体にこの6情報が必要です。ピッチ資料は募集時等の労働条件明示も代替しません。公開場所と配布方法を含め、最新の公式情報に照らして確認します。

採用担当・EM・CTOが変更時に更新する

章ごとに正本、責任者、更新契機を決めます。

担当更新する情報更新の契機
採用担当募集背景、選考工程、募集要項への導線、全体の版管理求人公開・停止、選考変更、章の更新完了
EMチーム構成、開発運用、役割、評価する能力組織変更、開発プロセス変更、募集職位変更
CTO技術方針、意思決定範囲、技術課題の公開範囲技術戦略・アーキテクチャ・権限の変更
労務担当雇用形態、就業場所、勤務時間、報酬制度等規程・制度・募集条件の変更
事業責任者顧客、事業課題、プロダクトの重点事業計画や公開可能範囲の変更

変更が起きた章を責任者へ戻します。面接官の補足も、確認済みなら正本へ反映し、未確認なら次回の説明から外します。

公開前チェックリスト

  • 候補者が下す三つの判断と各章がつながっている
  • 事業・プロダクトの数値に出典、対象期間、公開承認がある
  • 技術スタックに利用領域と残る制約を添えた
  • チーム、開発運用、オンコール等をEMが確認した
  • 役割、裁量、評価する能力が採用要件と一致している
  • 選考工程と面接官の役割が現行運用と一致している
  • 条件の記載が最新の募集要項・社内規程と一致し、変更範囲や更新基準も確認した
  • 未確定事項に確認者と公開前の確定条件がある
  • 適性・能力に関係しない情報を選考基準へ含めていない
  • 募集広告として使う場合、6情報を資料自体に表示した

採用ピッチ資料が渡すべきものは、期待を膨らませる言葉より、選べるだけの事実です。6章の根拠と責任者をそろえ、未確認事項を外してから表現を磨きます。