採用担当がいないIT企業のエンジニア採用|CTO兼務でも止めない運用
株式会社adding / 採用内製化支援チーム
エンジニア採用 / 採用内製化
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- 2026年8月11日
採用担当がいないIT企業でも、エンジニア採用は始められます。ただし、CTOが求人、書類確認、日程調整、技術面接、条件調整を全て兼務する形は続きません。採用が忙しいほどプロダクト開発が遅れ、開発が忙しいほど候補者への返答が遅れるからです。
僕なら、採用判断の責任者を一人決めたうえで、技術要件はCTOやVPoE、技術選考はEMと現場エンジニア、連絡と台帳は管理部門という形に分けます。専任採用担当者を置く前に、誰が何をいつまでに決めるかを固定します。
エンジニア採用を「全員で助け合う仕事」にすると、求人票はCTO待ち、書類はテックリード待ち、面接後の連絡は経営者待ちになります。兼務体制に必要なのは長い採用会議ではなく、技術判断と運用作業を混ぜない仕組みです。
採用担当がいなくてもエンジニア採用の責任者を決めます
採用責任者は、全作業を自分で行う人ではありません。優先するエンジニア職種を確認し、CTOやEMへ判断を求め、候補者対応と技術選考が期限内に進むよう管理する人です。経営者、管理部門、事業責任者の中から一人を決めます。
責任者には決裁範囲も必要です。求人票の文章を直せる範囲、面接枠を確保できる範囲、候補者へ返答する期限、報酬条件を経営者へ上げる条件を決めます。細かな文面変更までCTOの承認を待つと、兼務担当者の時間より承認待ちが長くなります。
一方で、技術要件を採用責任者へ丸投げしてはいけません。バックエンドエンジニアへ任せるドメイン、フロントエンドエンジニアへ期待するアクセシビリティや性能、SREへ渡す信頼性の責任は、CTO、VPoE、EMが決めます。採用責任者は決定を求人と選考へ反映します。
週次会議は三十分でも構いません。募集中の職種、候補者の現在地、技術判断待ち、次の担当者と期限を採用台帳で確認します。状況報告を順番に読むのではなく、止まっている判断を会議中に終わらせます。
優先職種も絞ります。バックエンド、フロントエンド、SRE、EMを同時に募集すると、技術要件の作成と面接へ使う現場工数が分散します。採用できなかった場合に最も大きなプロダクト判断が止まる職種から、求人と技術選考を完成させます。
経営判断・技術判断・運用作業を分担します
経営判断には、採用順位、人数、入社時期、報酬条件、最終的な採否があります。技術判断には、入社後の責任、必須能力、技術課題、面接の評価基準があります。運用作業には、求人票の更新、応募確認、候補者との連絡、日程調整、採用台帳の更新があります。
たとえばシニアバックエンドエンジニアを採る場合、経営者は採用期限と報酬条件を決めます。CTOは任せるシステム境界と必須能力を決め、テックリードはコードレビューやシステムデザインで見る項目を作ります。EMは面接官と評価期限を管理し、管理部門は候補者との日程を調整します。
候補者との連絡は企業自身が責任を持って行います。営業日内の返信基準と代理担当者を置き、CTOが忙しい日でも候補者を待たせない体制を作ります。外部の採用コンサルを使う場合も、採用要件、求人、技術選考、KPI、会議運用の設計支援と、候補者の選別、勧誘、送信、返信対応を混同しません。
判断を渡す条件も書きます。採用責任者がCTOへ確認する技術要件、EMが追加面接を求める条件、経営者が報酬条件を見直す条件を決めます。条件がなければ、安全のために全件がCTOと経営者へ戻り、兼務体制が止まります。
採用へ使った工数も記録します。CTOの求人レビュー、EMの書類確認、現場エンジニアの面接準備・実施・評価、管理部門の日程調整を月単位で見ます。専任採用担当者を置く時期や、外部支援へ設計を相談する範囲を感覚ではなく説明できます。
技術選考を現場エンジニアの善意へ依存させません
採用担当がいない会社では、技術面接が現場エンジニアの追加業務になりがちです。候補者が現れてから面接官を探す運用では、開発スプリントが忙しい週に選考が止まります。職種ごとに主担当と予備担当を決め、毎週の面接枠を先に確保します。
面接官へ渡す資料は、長い採用方針より一枚の評価基準が使いやすいと思います。入社後に任せる技術的な責任、確認する能力、質問または課題、評価する証拠、候補者へ伝える制約をまとめます。面接官が毎回ゼロから質問を考える負担を減らします。
バックエンドエンジニアなら、データ整合性、変更容易性、障害時の判断など、実際の職務に関係する項目を分担します。フロントエンドエンジニアなら、ユーザー体験、アクセシビリティ、状態管理、性能のどれを見るかを決めます。SREなら、障害対応の経験年数ではなく、検知から復旧、再発防止までの判断を確認します。
面接前には十五分の確認時間を置きます。候補者の経歴を読み、担当項目を確認し、同じ質問の重複を減らします。面接後は当日中に、候補者の発言と評価理由を記録します。「技術に詳しそう」「文化に合いそう」という印象では採用会議で検証できません。
月に一度は面接官の校正を行います。同じ模擬回答を複数人で評価し、判定が分かれた項目を直します。通過率だけで面接官を評価せず、未確認が続く項目、候補者から繰り返し受ける質問、技術課題に必要な時間を見直します。
技術選考を増やす判断にも現場工数を含めます。コード課題、システムデザイン面接、現場面接で同じ能力を確認しているなら、工程を統合できます。選考精度という言葉だけで、候補者と開発チームの時間を増やしてはいけません。
九十日後にCTOから引き継げる採用台帳を残します
採用台帳には、候補者名、応募職種、採用チャネル、現在の選考、次の作業、担当者、期限、評価記録を残します。求人側には、採用理由、入社後の責任、必須能力、技術選考、面接担当者、求人票の版を結び付けます。
候補者の個人情報を扱うため、閲覧できる社員を必要な範囲へ限定し、保存期間と削除方法を決めます。技術課題で候補者が共有したコードや資料も同じです。採用会議に必要のない個人情報を、改善用の資料として残し続けません。
最初の一か月では、優先するエンジニア職種、技術要件、求人票、週次会議をそろえます。次の一か月では、採用責任者、CTO、EM、現場エンジニアが台帳と技術選考を運用し、判断待ちを修正します。最後の一か月では、外部支援や経営者の細かな介入がなくても、社員だけで課題と担当者を決められるか確認します。
引継ぎでは完成した求人票だけでなく、プロダクト計画が変わった際に採用順位を直す方法、技術構成が変わった際に評価基準を更新する方法、KPIから改善箇所を選ぶ方法を残します。専任採用担当者を後から置く場合も、必要な役割と工数を具体的に渡せます。
明日の予定表に三十分のエンジニア採用会議を入れてください。参加者は採用責任者、CTOまたはVPoE、優先職種のEM、条件を決められる経営者です。会議までに採用台帳を一枚作り、CTO待ちになっている判断を一件だけ終わらせるところから始めてください。