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エンジニア採用市場2026|最新の求人倍率と見直す5項目

株式会社adding / 採用内製化支援チーム

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2026年9月4日

厚生労働省が2026年8月28日に公表した7月分統計では、常用(パートを除く)の「情報処理・通信技術者」の有効求人倍率は1.50倍でした。職業計の1.16倍を上回る一方、前年同月より0.13ポイント低下しています。有効求人は51,741件(前年同月比3.0%減)、有効求職者は34,555人(同5.7%増)です。

IPAの「DX動向2026」では、DX推進人材が「やや不足」「大幅に不足」と答えた国内企業は85.5%でした。ただし、この数値は社内の人材量に対する評価であり、求人件数や採用実績を示すものではありません。人材不足感は根強いものの、求人倍率だけから市場全体の競争がさらに過熱しているとは言えません。

この記事では、中途のエンジニア採用を担う経営者、最高技術責任者(CTO)、採用責任者向けに、最新統計が示すことと示さないことを整理します。そのうえで、応募、スカウト返信、面接、内定承諾のどこを最初に見直すべきかを5項目に絞って説明します。新卒採用と業務委託の市場は分けて扱います。

最新統計と自社の採用データを分けて確認します

この記事で使う市場データと、自社で確認すべき数字は次のように分けます。

確認対象現在分かること採用活動での使い方
情報処理・通信技術者の有効求人倍率2026年7月は1.50倍。職業計より高いが、前年同月より0.13ポイント低下市場全体が厳しいことは確認できるが、自社の不採用理由には直結させない
DX推進人材の不足感IPA調査では「やや不足」「大幅に不足」の合計が85.5%社内の不足感であり、求人件数や採用成功率とは分けて読む
自社の応募・返信・選考・承諾公的統計からは分からない工程ごとの数と率を確認し、最初に直す場所を1つ決める

求人倍率は採用計画の背景を知る数字です。求人票や選考をどこから直すかは、自社の応募率、スカウト返信率、選考移行率、内定承諾率で決めます。

2026年7月は1.50倍。採用難は続くが、前年より過熱していません

厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年7月分)によると、ハローワークにおける「常用(除パート)」区分の情報処理・通信技術者は、有効求人倍率が1.50倍、新規求人倍率が3.25倍でした。全職業を合計した「職業計」では、有効求人倍率1.16倍、新規求人倍率2.15倍です。情報処理・通信技術者は求人倍率が職業計より高く、求職者1人当たりの求人件数が多く表れています。

前年同月比と実数は次のとおりです。

指標2026年7月前年同月比
有効求人倍率1.50倍−0.13ポイント
有効求人51,741件−3.0%
有効求職者34,555人+5.7%

数字は厚生労働省の参考統計表7-2・8-1で確認できます。

2026年7月時点で、有効求職者1人に対する有効求人は1.50件です。ただ、前年より競争が一段と激しくなったとは言えません。「採用難が続いている」と「市場全体がさらに過熱している」は分けて考える必要があります。

この統計はハローワークの求人・求職を集計したもので、転職媒体、スカウト、人材紹介、社員紹介(リファラル)だけで転職活動をする候補者は含みません。また、「情報処理・通信技術者」は広い職業区分です。Webアプリケーションのシニアエンジニア、SRE、EMの採用難易度を1.50倍だけで判断するのは無理があります。

DX推進人材の不足感は85.5%です

IPAのDX動向2026は、国内企業1,799社の経営層、情報システム部門、DX推進部門などを対象にした調査です。DX推進人材の量が「やや不足」「大幅に不足」と答えた割合は、合計85.5%でした。

85.5%は社内の人材量に対する評価であり、「エンジニアを採用できない企業の割合」や外部採用の求人件数ではありません。求人倍率と同じ指標として足し合わせず、デジタル変革を担う人材への不足感が続いていることを示す補足材料として扱います。

前年のDX動向2025のデータ集(p.83)では、人材獲得の課題を日本企業1,189社に尋ねています。「魅力的な処遇が提示できない」は38.4%、「募集しても応募が少ない」は23.0%でした。調査年が異なるため、85.5%の内訳としては扱いません。採用媒体を追加する前に、任せる仕事、報酬、技術的な意思決定の範囲、開発環境を候補者が比較できる形にする必要があります。

「2030年にIT人材が不足する」は条件付きの将来推計です

エンジニア採用市場の説明では、「2030年にIT人材が最大約79万人不足する」という数字がよく使われます。しかし、この数字をそのまま現在の採用計画の前提にするのは危険です。

経済産業省が2019年に公表したIT人材需給に関する調査は、市場成長率と労働生産性を複数の条件に分けた試算です。2019年調査の代表的な中位条件では、IT需要が年2.7%伸び、労働生産性が年0.7%上がる前提で、2030年の需給差を44.9万人と試算しています。IT需要の伸びを年2.7%とする同じ中位シナリオでも、労働生産性が年3.54%上がる場合は、2030年に需給が均衡する可能性を示しています。

調査報告書にある最大78.7万人という値は、IT需要の伸びを年3〜9%、労働生産性の上昇を年0.7%と置いた高位シナリオです。確定した将来人数ではありません。さらに、調査は2015年の国勢調査を土台にし、2018年時点から将来を推計しています。生成AIによる開発工程の変化や、その後の人材移動を直接観測した数字ではありません。

注目すべきなのは、不足人数が需要の伸びや生産性向上、社内育成の進み方によって変わる点です。採用だけで不足を埋める計画と、開発環境の改善、既存メンバーの育成、外部人材の活用を組み合わせる計画では、必要な採用人数が変わります。

市場要因と自社要因を分けると、打ち手が見えます

採用難には、自社だけでは変えにくい市場要因と、採用活動の中で変えられる自社要因があります。求人倍率や候補者の絶対数は、1社が短期間で動かせません。採用する役割や必須条件、求人票、選考速度は自社で見直せます。

最初に、自社で採りたい役割を1つに絞ります。「エンジニアを3人」では、候補者数も比較条件も決まりません。マネジメントを担わないバックエンドのシニアエンジニア、プロダクト横断のテックリード、障害対応の待機体制(オンコール)を設計するSREでは、候補者が見る条件も採用難易度も異なります。

役割ごとに、次の4点を1枚にまとめます。必須条件と歓迎条件の分け方は、エンジニア採用の要件定義で具体例を確認できます。

  • 入社後6か月で任せるプロダクト課題と技術判断
  • 初日から必要な能力と、入社後に育成できる能力
  • 報酬、働く場所、勤務時間、オンコールなどの条件
  • CTO、EM、現場エンジニアが選考に割ける時間

必須条件を増やすほど、対象となる候補者は減ります。特定の言語経験を必須にするなら、入社初日からその経験が必要な理由を確認します。別言語で同じ規模や障害特性を扱った経験でも評価できるなら、経験年数より扱ってきた課題の近さを見た方が候補者層を広げられます。

報酬だけで差を埋められない場合もあります。候補者が比較するのは、給与のほか、プロダクトの課題、技術的負債へ使える時間、意思決定者、リモート勤務、オンコール、評価、学習機会です。自社が任せられる責任と、実際に改善できる環境を具体的に示します。

応募・スカウト返信・面接・内定承諾のどこで詰まっているかを見ます

公的統計は市場の背景を知る材料です。自社の採用難易度は、実際に接点を持った候補者の反応から判断します。採用活動を4つの工程に分けると、最初に直す場所を決めやすくなります。工程ごとの数と率を同じ定義で追う方法は、採用KPIの設計ガイドで整理しています。

  • 求人を出しても応募が来ない:求人の閲覧数、応募数、応募率を確認し、役割、必須条件、報酬、求人票、掲載先を見直す
  • スカウトに返信が来ない:送信数、開封数、返信数、面談につながった数を確認し、送信対象、任せる仕事、文面、送信後の対応を見直す
  • 面接へ進まない・途中で辞退される:面談から選考への移行率、通過率、選考日数を確認し、求人との一貫性、評価基準、面接官、連絡速度を見直す
  • 内定を出しても承諾されない:内定数、承諾数、承諾率を確認し、条件、期待役割、比較材料、オファーまでの日数を見直す

対象候補者数が少ないなら、必須条件、報酬、働き方のいずれかが市場と合っていない可能性があります。対象は十分でも返信率が低いなら、候補者へ伝える仕事や送信対象を見直します。面談後の選考移行率が低いなら、求人と実際の役割、開発現場からの説明に差がないかを確認します。

選考日数も市場への対応です。CTOの予定が空かず、技術面接まで2週間待たせているなら、媒体やスカウト文面を増やすより面接枠を先に確保します。候補者の判断を急がせるのではなく、企業側の確認・連絡にかかる時間を短くします。

今月は5項目から1つ選んで見直します

前節で特定した詰まりに応じて、次の5項目から今月見直すものを1つ選びます。

  1. 採用する役割:入社後6か月で任せる仕事と技術判断を言葉にする
  2. 必須条件:初日から必要な能力と、入社後に育成できる能力を分ける
  3. 候補者へ示す条件:報酬、働く場所、オンコール、評価、意思決定の範囲をそろえる
  4. 選考予定:CTOや現場エンジニアの面接枠を先に確保し、連絡期限を決める
  5. 職種別の重要指標(KPI):応募、返信、面接、内定承諾の数と率を毎月同じ定義で追う

5項目を一度に変えると、どの修正が効いたのか分かりません。毎月の会議では、どの工程の数値が前月から変わったかを確認します。役割、条件、候補者接点、選考速度から1つを選び、次の1か月でKPIの変化を確認します。

市場環境そのものは、1社だけでは変えられません。採用できない理由を工程別に分ければ、自社で変えられる課題は残ります。採用活動全体を組み直す場合は、エンジニア採用の進め方で要件定義から内定後フォローまでを確認できます。外部支援を検討するときは、先に詰まりを特定しておくと、必要な支援範囲と予算を判断しやすくなります。費用の考え方は、エンジニア採用コンサルの費用ガイドで詳しく整理しています。

引用・参照した一次資料

  1. 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」(2026年8月28日公表)
  2. 厚生労働省「一般職業紹介状況 参考統計表」(職業別の求人・求職・倍率)
  3. IPA「DX動向2026」調査のポイント(2026年7月16日公表)
  4. IPA「DX動向2026のポイント」(DX推進人材の不足感、調査条件)
  5. IPA「DX動向2025 データ集」(人材獲得の課題)
  6. 経済産業省「IT人材需給に関する調査」概要(2019年4月公表)
  7. 経済産業省「IT人材需給に関する調査」報告書(シナリオ別の2030年需給差)

市場統計は更新されます。このガイドでは2026年9月4日時点で公表済みの一次資料を使っています。採用計画を更新する際は、厚生労働省が公表する最新月の統計と、自社の直近3か月の職種別KPIを合わせて確認してください。まずは直近3か月のKPIから、今月直す詰まりを1つ選びましょう。