エンジニア採用単価の見方|媒体費よりCTO・現場工数を分ける
株式会社adding / 採用内製化支援チーム
エンジニア採用 / 採用単価
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- 2026年8月16日
エンジニア採用単価は、低ければ良い数字ではありません。媒体費を抑えても、CTOが毎週すべての書類を読み、現場エンジニアが目的の重なる技術面接へ何度も参加していれば、開発現場から大きな工数が失われています。
「エンジニア採用単価が高いので媒体を変えたい」という相談で、僕が先に確認する内容は計算範囲です。求人媒体費だけを入れた数字と、人材紹介、採用広報、カジュアル面談、コード課題の確認、最終面接まで入れた数字は比較できません。バックエンドエンジニアとSREを合算しても、採用難度と選考工数の違いが見えなくなります。
エンジニア採用単価は、平均額と競う数字ではなく、どの職種のどの工程へ費用と技術者の時間を投じるか決める数字です。計算式より先に、職種、期間、費用、入社人数の定義をそろえます。
外部相場を比較材料にする場合は、2026年8月16日時点の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」や、役割を整理したIPA「デジタルスキル標準 ver.2.0」を参照できます。ただし、公開統計は自社の採用単価や社内工数を直接示すものではありません。自社の時間単価は給与、会社負担費用、対象期間を決めて計算し、推測した相場を入れないでください。報酬設計まで見直す場合は、エンジニアの給与設計で評価項目とのつなぎ方を確認できます。
エンジニア採用単価は職種別に費用と工数を決めます
基本的な計算は、対象期間の採用費を同じ範囲の入社人数で割ります。四半期に媒体費を払い、次の四半期に入社した場合は、費用を支払月へ置くのか、採用活動の期間へ配賦するのかを決めます。月ごとの採用人数が少ないエンジニア職種では、四半期や半年で見る方が変化を読みやすくなります。
外部費用には求人媒体、採用イベント、採用広報の制作、人材紹介などがあります。社内費用には採用担当者だけでなく、求人要件を決めるCTO、書類を確認するテックリード、カジュアル面談を担当するEM、コード課題やシステムデザイン面接を評価する現場エンジニアの時間があります。
社内工数を精密に集めるために運用が止まるなら、最初は役割ごとの時間を月単位で概算します。たとえばCTOの求人要件会議、EMの書類確認、現場エンジニアの面接準備・実施・評価を分けます。概算の前提は記録し、請求書で確認できる外部費用と混同しません。
分母は入社人数へそろえる方法が分かりやすいと思います。内定人数を使うと、内定辞退や入社前辞退が採用単価へ反映されません。費用を使った期間に入社がゼロなら、無理に一人当たり金額を出さず、費用と入社ゼロをそのまま残します。
バックエンド、フロントエンド、SRE、EMは別に見ます。同じシニアエンジニアという呼び方でも、候補者との接点、技術選考、参加する面接官が違います。採用単価の差が市場によるものか、技術要件や社内工程によるものかを分けるためです。
技術選考の詰まりを採用単価へつなぎます
採用単価が上がったとき、採用チャネルの料金だけを原因にしてはいけません。CTOの書類確認が一週間止まる、技術面接の枠が月二回しかない、コード課題の評価担当が決まっていない、最終面接後の条件決定が遅いといった社内工程でも入社人数は減ります。
エンジニア採用の工程は、求人閲覧、応募またはスカウト返信、書類確認、カジュアル面談、技術選考、現場面接、最終面接、内定、承諾、入社に分けます。全社で同じ工程を使っていない場合は、職種ごとの実際の流れを記録します。各工程の人数に加え、候補者と社員が次へ進むまでの日数を見ます。
応募が増えても書類確認が止まっているなら、媒体を追加すると未確認の候補者だけが増えます。技術選考後の評価が遅いなら、面接官を増やす前に担当項目と入力期限を決めます。技術選考の通過率が極端に低い場合は、候補者の能力だけでなく、求人の技術要件と課題内容が一致しているかを確認します。
選考工程ごとの現場工数も比べます。システムデザイン面接をCTOとテックリードが毎回同席しているなら、両者が何を別々に評価しているかを確認します。同じ項目を見ている場合は、面接を分担するか、記録を共有して重複を減らせます。
採用単価が上がっても、重要なSREポジションへ意図して予算と現場工数を集中し、任せたい信頼性の責任を持つ人が入社したなら、経営判断として説明できます。反対に採用単価が低くても、入社後に期待していた技術責任と実際の仕事が違えば、安い採用とは言えません。
採用チャネル別の単価と技術者工数を並べます
全社の採用単価は予算管理に向いていますが、どの採用チャネルを続けるかは決められません。求人媒体、社員紹介、自社採用サイト、採用イベント、人材紹介、ダイレクトリクルーティングを、候補者との最初の接点と社内工数に分けて確認します。
直接費用が少ないチャネルでも、技術者の時間が大きい場合があります。社員紹介では、紹介した社員だけでなく、CTOやEMが事前説明と面談へ参加します。ダイレクトリクルーティングでは、対象条件を作る、公開情報を確認する、文面の技術説明をレビューする、返信後に面談する時間があります。
チャネル別採用単価には、最初の接点をどこへ帰属させるかルールが必要です。採用広報を読んだ後に社員紹介で応募した候補者を、両方の入社として数えると比較できません。最初の接点、応募経路、採用決定に影響した接点を別項目で残し、採用単価の分母には一つのルールを使います。
応募単価が低くても、技術要件と合わない応募が多ければ書類確認の工数が増えます。応募数が少なくても、技術選考と入社につながり、CTOや現場の工数を抑えられるチャネルなら続ける理由があります。費用、候補者数、通過率、現場工数を同じ表で見ます。
短期間の結果だけでチャネルを止める判断も避けます。求人票を変更した日、技術要件を変えた日、面接官を増やした日を記録し、変更前後を比べます。母数が少ないEMやSREでは、率だけでなく候補者から受けた質問や辞退理由も読みます。
採用コンサルへ依頼する場合も、採用単価を下げる保証だけで選ばない方が安全です。外部支援へ期待したい成果は、企業が職種別の費用と工数を読み、技術要件、求人、選考工程のどこを変えるか決められる状態です。候補者の選別や採否は企業自身が担います。
外部支援を比較するときは、媒体費だけでなく支援範囲と社内工数を並べます。採用コンサルティングの費用と支援範囲では、依頼前に分ける項目を整理しています。
次の会議ではCTOの時間を金額と一緒に見ます
精密なダッシュボードから始める必要はありません。直近三か月について、バックエンド、フロントエンド、SRE、EMを行に置き、外部費用、CTO・VPoE・EM・現場エンジニアの時間、応募、技術選考、入社を列に置きます。ゼロと未記録を分け、概算には算定方法を書きます。
次に、金額か工数の差が大きい職種を一つ選びます。媒体費が高いのか、書類確認が遅いのか、技術選考が重複しているのか、内定後に期待差が生じているのかを候補にします。一度に複数の工程を変えず、次の一週間で直す運用と確認日を決めます。
予算を削る判断は、技術選考の流れを確認した後に行います。現場の評価が止まっているなら、媒体費を削っても候補者を待たせる問題は残ります。技術要件が広すぎるなら、追加集客より求人と採用スコアカードの修正が先です。
エンジニア採用単価は、経営者へ費用を説明する数字であると同時に、開発現場の時間を守る数字です。次の採用会議までに、募集中の一職種だけでも、外部費用、参加した技術者、各人の工数、技術選考までの日数を並べてください。媒体費だけでは見えなかった採用の詰まりが、具体的な改善候補に変わります。